2021-09-02

【2021台湾文学展】第二弾:妖怪台湾──華麗なる魑魅魍魎(前編)

夏の風物詩といえば、身の毛もよだつ怪談話。泣く子を呑み殺す「虎姑婆(フゥグゥポー)」に、山に入った人を迷わせる「魔神仔(モシナ)」、女子を強引に娶る蛇の化身「蛇郎君(シェランジュン)」など、灼熱の太陽が照りつける台湾でも、束の間の涼を求めて、地域に伝わる妖怪談が人々の関心を集めています。民主化運動や台湾アイデンティティの躍動とともに、忌避されてきた台湾の妖怪たちは民間伝承の場を離れて、小説、映画、ゲームといったさまざまなコンテンツで跋扈し、今や大衆文化の一部となっています。今回の特集では、台湾の文青(文芸青年)の間でとりわけ人気の高い怪談創作を紹介し、台湾発の妖怪の魅力を探ります。

  • 台湾の妖怪伝道師_今シーズンの注目作家

    何敬堯(ホー・ジンヤオ)
    1985年生まれ。台湾大学文学部外国語文学科卒。清華大学台湾文学所博士課程満期
    退学。ファンタジー要素を融合させたミステリー創作に長け、怪談ミステリー『幻の港』で小説家デビュー。その後、台湾の民間に伝わる奇譚を体系的にまとめた『妖怪台湾』を刊行し、人気を博す。その他の作品に、『怪物たちの迷宮』、『妖怪台湾地図』などがある。

  • 角斯(チャオス・ツォン)
    台北人。世新大学映画総合学科卒。グラフィックデザイナー、イラストレーター。
    自身で立ち上げたブランド「角斯角斯(チャオス・チャオス)」を運営する傍ら、2012年より、台湾各地に伝わる神話、妖怪伝承を題材に絵の創作を行っている。代表作に『台湾妖怪地誌』『宝島捜神』などがあり、2021年の春、初めての絵本作品『牟吉(モウジィ)』を上梓した。

  • 瀟湘神(シャオ・シャンシェン)
    1982年生まれ。東呉大学中国文学学科卒。台湾大学哲学研究所修士課程修了。台北地方異聞工作室の共同創業者。長年にわたって、台湾における妖怪伝承に関する史料の収集と研究を行ない、大衆文化とされてきたフォークロアを現代的に書き替えるなど、民間信仰や怪異伝承を題材にした小説を創作している。主な著書に、『跋扈する台北城の妖魔』、『魔神仔(モシナ)』、『唯妖論』(共著)、『おはしさま』(共著)がある。

  • 「妖怪文芸」シリーズ_台湾の妖怪に詳しくなれる中文書6選

    台湾妖怪研究室報告(臺灣妖怪研究室報告)
    どこかで聞いた奇妙な伝説は、本当に単なる噂なのか? 台湾で語り継がれる16種類もの妖怪を一度に網羅した、怪談ファン必携のバイブル。「妖怪図鑑」「記録ガイド」に、さまざまなジャンルの専門家8名による「妖怪見聞録」が加わった、愛蔵版3巻セット。

  • 妖怪台湾(妖怪臺灣)
    300年にわたる台湾妖怪史の完全ガイド。「妖鬼神遊巻」では229匹の怪力乱神を網羅し、「怪談奇夢巻」では129篇の怪談が収録されている。作者が長い歳月をかけて、台湾各地に伝わる怪異伝説を緻密に取材しまとめ上げた、最恐保存版。

  • 幻の港(幻之港)
    かつて存在した謎多き港にまつわる、5つの怪談エピソードから構成された奇譚集。道ゆく人たちを、底知れぬ憎悪や貪欲の世界へと導き寄せた物の怪たちは、どこへ消えたのか? 台湾屈指の妖怪研究家である何敬堯が、歴史小説の旧套を脱して挑んだ、初の連作短編集。

  • モウジィ(牟吉)
    太陽にまつわる伝説は、中国の夸父や后羿のほか、台湾における原住(先住)民族の口承文芸でも散在する。ツォウ族とカナカナブ族に伝わる神話を綯い交ぜた渾身作。太陽を追いかける冒険物語が絵本で蘇る。

  • モシナ(魔神仔)
    太陽にまつわる伝説は、中国の夸父や后羿のほか、台湾における原住(先住)民族の口承文芸でも散在する。ツォウ族とカナカナブ族に伝わる神話を綯い交ぜた渾身作。太陽を追いかける冒険物語が絵本で蘇る。

  • 宝島捜神(寶島搜神)
    夢に出る仙霊、霊験を現す12ヶ月の神々、爆弾を受け止めて人々を守った媽祖、神に化した宜蘭猫、金丹を用いて竜と虎を治療した保生大帝など、台湾の怪力乱神にまつわる108の物語が一冊に集結!

2021年10月中旬まで、誠品生活日本橋「台湾文化視点コーナー」にて絶賛展示販売中。是非お越しくださいませ。