当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2025年11月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『本が生まれるいちばん側で』
著者:藤原印刷 出版社:ライツ社
「ZINEの聖地」と呼ばれる長野県の老舗印刷
会社の三代目、藤原兄弟が「自分で本を作り
たい」という人たちの思いに寄り添った15年
の日々を振り返り、本づくりへの熱い思いを
綴る。印刷所にしか語れない現場の様子と
「つくること」本来の豊かさが伝わってくる。
『ホームレス文化』
著者:小川てつオ 出版社:キョートット出版
都内の某公園で20年以上暮らしているホー
ムレスの著者が、そこでの生活や、生活を守
るための活動をブログで投稿し、内容をまと
めた一冊。笑いや豊かさもある暮らしの中で、
時に鋭く社会のありようが映し出され、生き
た思想の書ともなっている。
『カウンセリングとは何か』
著者:東畑開人 出版社:講談社
混迷を深める現在の社会状況にあって、生
活を守ること、人生をちゃんと生きること
のためにカウンセリングはあるー。『心は
どこへ消えた?』(文春文庫)など多数の
ヒット作を持つ臨床心理士が正面から論じ
る“カウンセリング論”。
『エキストリーム・センター』
著者:酒井隆史 山下雄大 出版社:以文社
「エキストリームセンター」とは「極中道」。
右でも左でもない「寛容」を称する「中道」
が、実際は他者を積極的に排除するものだと
して、現代の中道政治を批判する概念である。
選りすぐりの10本の論文を掲載した、日本初
の本格的なエキセン論集。
『ゆれる時代の生命倫理』
著者:小林亜津子 出版社:笠間書院
技術の発展によって生じる様々な選択肢や問
いを、美容整形、安楽死、ケア等を題材に自
身や周囲とどう向き合うかを考えるための一
冊。どの世代にも身近なものとして気づきを
与えるとともに、倫理は遠い議論でなく、私
達の生活に直結することを実感させられる。
『刻印 満蒙開拓団、黒川村の女性たち』
著者:松原文枝 出版社:KADOKAWA
満州へ渡った開拓団の女性たちが終戦後に直
面した「性接待」「差別」「沈黙の歴史」。終戦か
ら73年の時を経て、彼女たちが記憶と事実を
刻み直す姿から尊厳を回復するまでを追った
ノンフィクション。封印されてきた歴史を読
む意味を、ひしひしと伝える一冊。
『日本映画のために』
著者:蓮實重彦 出版社:岩波書店
映画への偏愛を語り、映画批評をリードし
続ける著者の、40年にわたる論考をまとめ
た日本映画論集成。単著未収録の30篇を含
む圧倒の448ページ。書下ろしの「内田吐
夢論」、三宅唱の対談、小田香・小森はる
かとの鼎談を収める。
『老いのレッスン』
著者:内田樹 出版社:大和書房
老いはやがて誰にも訪れる。これまで普通
にできたことが、ある日突然できなくなる。
老いは死の始まりであり、緩やかに死を受
け入れるためには、“老いのレッスン”が必
要、と著者は説く。武道家であり哲学者で
ある著者の深い洞察が心に染みる一冊。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。