当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2026年10月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『小説 ヒトラー 1』
著者:佐藤賢一 出版社:集英社
第一次世界大戦敗戦直後の1918年、陸軍病院を退院した一人の上等兵アドルフ・ヒトラー。行き場のない彼は軍に残り、ある政党の集会への潜入を命じられたことから、自らの弁舌の才能に気づいて政治の道へ踏み出す。無名の男はいかに完全な独裁者となり、政権を奪取したのか。戦争の本質と独裁誕生の過程を描く全三巻の第一部。
『僕と「先生」』
著者:長瀬海 出版社:講談社
批評家・加藤典洋とは何者だったのか。書評家の長瀬海が、大学で出会った「先生」と過ごした14年間を振り返る。講義や読書会、二人の対話、加藤の著作をたどりながら、師から何を受け取り、死後もその問いとどう向き合ってきたかを記す。個人的な追憶と批評的思考が重なる、師弟関係と知的継承をめぐるノンフィクション。
『絶滅種たちの国』
著者:マリア・レヴァ 訳者:山北めぐみ 出版社:河出書房新社
独身男性の大量誘拐事件が起きるウクライナを舞台に、ロシア軍の侵攻によって日常を奪われた人々を描く連作小説。絶滅危惧種のカタツムリを守る科学者、人身売買まがいの結婚仲介に関わる女性、ロシア兵と向き合う市民など、多様な人物の物語が交差する。戦争と移民、家族、言語、帰属を、悲劇とユーモアを織り交ぜて描く。
『フィットネスの社会学』
著者:竹﨑一真 出版社:青土社
筋肉や体型だけでなく、睡眠、代謝、集中力、感情、老化まで「最適化」しようとする現代のフィットネス文化を社会学的に分析する。健康政策、商業ジム、サプリメント市場、雑誌、SNSはいかに人々を自己管理・改善・演出へと駆り立ててきたのか。雑誌言説や商品開発の歴史から、「整ったからだ」を求め続ける社会の姿を浮かび上がらせる。
『人と土地』
著者:阮義忠 訳者:栖来ひかり 出版社:みすず書房
台湾の写真家・阮義忠が1974年から1986年、戒厳令下の島内各地を旅して撮影した代表作。都市化が及ぶ前の土地で、多様な民族的背景をもつ人々が暮らす姿を85点の写真に記録する。「成長」「労働」「信仰」「帰郷」の四章と後年のエッセイから成り、変わりゆく台湾の原風景と、人が生きることの根源を静かに問いかける。
『紙の上で考えることの歴史』
著者:ローランド・アレン 訳者:小林玲子 出版社:柏書房
白紙を綴じたノートは、人間の思考と社会をどう変えたのか。中世イタリアの帳簿、ルネサンスのスケッチブック、大航海時代の航海日誌から、作家の日記や現代のバレットジャーナルまで、800年に及ぶ歴史をたどる。商業、科学、芸術、文学、自己理解を支えてきた「書くための本」を、最も持続的な思考の道具として捉え直す文化史。
『講義 戦後史を歩く1945-2000』
著者:八柏龍紀 出版社:白水社
1980年代から30年以上、代々木ゼミナールで日本史を教えた著者による戦後史講義。敗戦と占領、高度経済成長、安保闘争、公害、沖縄返還、バブルとその崩壊など、1945年から2000年までの日本を、人々の暮らしと社会の変化に結びつけて語る。受験知識にとどまらず、なぜ生きるのか、これからの社会をどう築くのかを問いかける。
『ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで』
著者:清野孝弥 出版社:東洋経済新報社
心身の病を抱える両親に代わり、家事と介護を担ってきた著者の1000日間の記録。中学三年時の一家心中未遂を機に逆境から抜け出すことを決意し、横浜翠嵐高校で学年最下位、偏差値52から独学で東京大学現役合格を目指す。家族を見捨てず、生活保護下の暮らしと受験勉強を両立した経験を、美談にせず率直に語る。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。