2024-04-04

【誠品選書】2024年4月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2024年4月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『現代アートを続けていたら、いつのまにかマタギの嫁になっていた』
    著:大滝ジュンコ 出版社:山と溪谷社

    山にぐるりと囲まれた人口37人の集落の
    マタギ頭のもとに嫁ぐことになった現代美
    術家の移住記。自然とともに生きる豊かさ
    と過酷さがユーモアをまじえた筆致で綴ら
    れる。「生きることに手を抜かない」ひと
    びとから、人間本来の生き方を教えられる。

  • 『陳澄波を探して』
    著:柯宗明 出版社:岩波書店

    台湾の美術界を代表する画家でありながら
    1990年代まで歴史から名前が消されていた
    陳澄波。彼が残した一枚の油絵をめぐるミ
    ステリー仕立ての歴史小説。激動期の近代
    台湾で、自らのアイデンティティーを追求
    した知識人たちの葛藤が描かれる。

  • 『双子のひみつ』
    著:ウィリアム・ヴァイニー 出版社:グラフィック社

    双子の著者による、双子の本。絵画・映画
    などの文化史や、医学・心理学の研究など
    から双子の記録を探りつつ、読者に明かし
    ていく「ひみつ」とは。きっとその不思議
    に魅了され、物語に惹かれ、双子たちの人
    生に興味を抱かずにはいられないだろう。

  • 『精神の考古学』
    著:中沢新一 出版社:新潮社

    40年前ネパールに渡り、チベット人の高僧に
    教えを乞うて修行をした経験を元に著した
    『チベットのモーツァルト』(せりか書房)で
    鮮烈なデビューを飾った著者が、新たに記す
    “精神の始源への旅“。それは、言語を超えた
    魂の実在の在処への往還だった。

  • 『板上に咲く』
    著:原田マハ 出版社:幻冬舎

    赤貧のなか弱視に苦しみながら絵を描き続
    け、版画こそ日本が世界に誇る芸術と確信
    した棟方志功。「世界のムナカタ」になる
    までの過程を、妻チヤの視点で描いた小説。
    純粋に、ひたむきに、信念を貫いた唯一無
    二の芸術家の生き方に圧倒される。

  • 『方舟を燃やす』
    著:角田光代 出版社:新潮社

    高度成長期からバブル期、そして失われた
    30年に至る世相の変化が、主人公たちの人
    生とリンクするように克明に描かれる。先
    のことなど何一つ分からず、誰もが不安を
    抱えて生きているいま、何が希望となり得
    るのかを真剣に問う、圧巻の長編小説。

  • 『ひとりみんぱく』
    著:松岡宏大 出版社:国書刊行会

    インドの旅行ガイドの編著者としても有名
    な筆者が、世界を旅する間に撮影した写真
    と収集したアイテムを紹介する。布張りの
    カバーが手に収まり良く、まるで民俗博物
    館に居るような、世界一周旅行をしている
    ような読み心地がする1冊。

  • 『被災物 モノ語りは増殖する』
    著:姜信子 他 出版社:かたばみ書

    東日本大震災の『被災物』が語る記憶とは。
    物言わぬモノの言葉を拾い上げ、語り直す
    行為の持つ意味とは。当事者だけが持つ経
    験が埒を超えて非当事者へと継承されてゆ
    くためのメディウムとしての「被災物」を
    正面から捉えた著者たちの論考。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。