2024-09-01

【誠品選書】2024年9月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2024年9月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『左利きの歴史』
    著:ピエール・ミシェル・ベルトラン 出版社:白水社
    右利きの人が優先される社会は、左利きの
    人が受ける迫害・承認・賞賛と表裏一体だ
    ということに気づかされる。芸術・スポー
    ツ・文化など、さまざまな切り口から左利
    きの歴史を振り返ることができる。利き手
    とは逆の手に、思いをはせてみよう。

  • 『ハイブリッド・ヒューマンたち』
    著:ハリー・パーカー 出版社:みすず書房
    著者はアフガニスタン紛争で両脚を失い、
    義足を得て復帰していく。己の身体と繋が
    っている機械を見つめ葛藤しつつ受け入れ
    ていくなかで、偏見や生きづらさを味わいな
    がらも、機械によって支援される人体の可
    能性を考察し、力強く表現している。

  • 『北朝鮮に出勤します』
    著:キム・ミンジュ 出版社:新泉社
    栄養士である韓国人の著者が、北朝鮮の工業
    団地で働いた一年間の出来事を綴ったエッセ
    イ。社会の体制や自由に関する話題は憚られ
    たが、自分と変わらないふつうの人々ととも
    に過ごすうちに心が通い合っていく。人と人
    との間に国境はないと教えてくれる一冊。

  • 『文化の脱走兵』
    著:奈倉有里 出版社:講談社
    文学の知識を織り交ぜながら書かれたこの
    エッセイ集は、詩情豊かでありながら、時に
    力強い文章で反戦の思いを表明する。文化の
    担い手にできるのは、武器を捨て、文化本来
    の役割を抱えたままどこまでも逃げること、
    という思いがタイトルには込められている。

  • 『あきらめない政治』
    著:鮫島浩 出版社:那須里山舎
    元朝日新聞政治部の記者である著者が、政治、
    政治家、政策、政党、政局について、こうい
    うものなんだよとかみ砕いて教えている。
    「政治家」には愛想を尽かしているが「政治」
    をあきらめていないという著者は、私たちの力
    で政治は動くと力強く説く。

  • 『戦争ミュージアム』
    著:梯久美子 出版社:岩波書店
    戦争と平和に関連する全国各地の博物館から
    “日本”が経験した戦争”と一口に言っても、
    様々な形の悲劇があったことがわかる。
    戦争の体験者が年々減り、記録や記憶の伝承
    が課題となるいま、歴史を知り、次世代に伝
    えていくことの重要性を教えてくれる。

  • 『わからないままの民藝』
    著:朝倉圭一 出版社:作品社
    著者が暮らす飛騨高山では、支度をするこ
    とを“やわいをする”というそうで、この柔
    らかな、真面目な、誠実な言葉の響きをそ
    のまま店名にした民藝の店「やわい屋」を
    いつか訪れてみたいと思わせる、端正で濃
    密な文章が読ませる一冊。

  • 『人事と権力』
    著:軽部謙介 出版社:岩波書店
    二〇一三年、当時の首相、安倍晋三が「官
    邸主導」で黒田東彦を日本銀行の総裁に任
    命した。98年の日銀法改正により日本銀行
    の独立性と透明性がうたわれたが、実際は
    以後もトップ人事が官邸主導で行われてき
    た。中央銀行のあり方と歴史的意味を探る。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。