2024-12-01

【誠品選書】2025年1月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2025年1月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『物語ることの反撃』
    著者:リフアト・アルアライール 出版社:河出書房新社
    ガザのイスラーム大学での創作の授業を
    通じて学生が執筆した23編の短編小説を
    収録。書き手の多くは小説を書くこと自
    体初めてで、粗削りだが「書く」という
    行為に懸ける思いが凝縮されている。編
    者は2023年12月、空爆によって死亡した。

  • 『山影の町から』
    著者:笠間直穂子 出版社:河出書房新社
    著者はフランス文学研究者であり翻訳家。
    東京から秩父の山奥に移り住み、そこでの
    生活や目にした自然、土地の人々との交わ
    りについて感じたことを淡々と綴る。文学
    の素養、自然に対する感性、ものを見る目
    の確かさが感じられる名エッセイ集。

  • 『4321』
    著者:ポール・オースター 出版社:新潮社
    主人公の4つのあり得た人生をパラレルに
    描く前代未聞の小説。4人の主人公は全く
    異なる人生を歩んでいくが、そこに優劣は
    なく、誰のどのような人生も大切で語るに
    値すると著者は教えてくれる。2024年4月
    に亡くなったオースターの集大成。

  • 『皿をまわす』
    著者:いしいしんじ 出版社:港の人
    DJと陶芸家のふたりが過ごす一晩の物語。
    ターンテーブルとろくろ、それぞれに向き
    合って生きてきた彼らが、ひょんなことか
    ら出会い、交わす言葉は短くとも、皿を通
    じて互いを理解し合っていく様子が優しく
    綴られる。「うつわ小説」シリーズ第2作。

  • 『生成AI時代の言語論』
    著者:大澤真幸 出版社:左右社
    “AIが本当は言語を理解しているのか”実は
    半信半疑のまま、我々はすでに日常の道具
    として彼らと付き合い始めている。では
    しかし我々人間は言語を本当に理解して
    いると言えるのか?劇的な速度で変わりつ
    つあるAIと言語を巡る対談+論文集。

  • 『ひとごと』
    著者:福尾匠 出版社:河出書房新社
    読み書きの業界とその周囲に集まる人々(
    SNSやヤフコメでわいわいしている方々含め)
    の自意識の塊のような言説は、日頃読みも
    書きもしない人々にとってみるとどーでも
    いいルナールの『蟻』(数字の3の羅列)み
    たいに見えるのかも、と思いました。

  • 『限局性激痛』
    著者:ソフィ・カル 出版社:平凡社
    著者の激烈な失恋体験と、その癒しに至る
    過程を写真とテキストで表現し、原美術館
    で1999年に開催された伝説の展覧会の書籍
    化。3か月間の日本滞在・遠距離恋愛の結
    果の失恋までの第一部、その痛みを他人に
    告白し、逆に人生で最も辛かった体験を聞
    き取るという第二部で表現されている。

  • 『対馬の海に沈む』
    著者:窪田新之助 出版社:集英社
    長崎県のJA対馬で日本一の営業成績をあ
    げていた職員が、二十二億円ほどの共済金
    横領の疑惑が持ち上がった直後、車ごと海
    に転落して死亡。丹念な取材を通して、組
    織の腐敗と人間の業の深さを描きだした労
    作。開高健ノンフィクション賞受賞作。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。