
当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2025年7月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『翻訳する私』
著者:ジュンパ・ラヒリ 出版社:新潮社
ベンガル語で話す家庭に生まれながら、英
語で創作をし、さらにイタリア語での執筆
・翻訳も行うジュンパ・ラヒリ。翻訳によ
る自らの「変身」について書きながら、母
の死をひとつの変身物語として捉えること
ができた心境を綴った見事なエッセイ。
『乱歩と千畝』
著者:青柳碧人 出版社:新潮社
昭和初期のミステリ作家、江戸川乱歩と、
第二次大戦中、外交官として多くのユダヤ
人の命を救った杉原千畝。まだ無名だった
2人が友となり、夢を語り合い、若き横溝
正史や松岡洋右ら、後の大物とともに新し
い歴史を作っていく青春を描いた歴史小説。
『アカシアの朝』
著者:櫻木みわ 出版社:小学館
K-POPスターを目指す陽奈と、大学進学
した幼なじみを追うソユンがソウルの芸
能事務所で練習生として過ごす物語を縦
軸に、南北朝鮮や兵役、植民地、嫌韓な
ど我々の社会が抱え続ける課題を横軸に
描き出す、骨太で繊細で魅力的な一冊。
『生きるためのブックガイド』
著者:岩波ジュニア新書編集部 出版社:岩波書店
小中学生から読むことができ、入門書とし
て大人が読んでも役に立つ「岩波ジュニア
新書」刊行1000点目を記念して企画された。
22人の識者が、小説や物語を除いて1人3冊
ずつ本を推薦。本を読んで考える営みを知っ
てほしいという思いが込められている。
『私の孤独な日曜日』
著者:月と文社編 出版社:月と文社
年齢も職業も異なる17人の無名の書き手が
「ひとりで過ごす休日」を綴ったエッセイ
集。見知らぬ誰かの「映えない」休日の裏
にある孤独感に触れることで、人生への視
点が少しでも変化する。そんな読書体験を
味わってほしいという思いから企画された。
『「透明」になんかされるものか』
著者:鷲田清一 出版社:朝日出版社
普段は見過ごしがちなことや世の中に潜む
「見えないもの」に光を当て、社会問題や
ニュースの裏側にある意味を深く考える
きっかけになる哲学エッセイ集。安易な答
えを求めず、深く思考することの重要性が
伝わってくる。
『子どもも兵士になった』
著者:真鍋和子 多屋光孫 出版社:童心社
本書は、沖縄戦で兵士となった男子中学生
たちの知られざる実態を描く。記録にもあ
まり残されていなかった彼らの奪われた日
常と、戦争の理不尽さが10代の少年らしい
視点と会話でリアルに伝わってくる。戦争
を知らない私たちが今、読むべき一冊。
『江藤淳と加藤典洋』
著者:與那覇潤 出版社:文藝春秋
かつて若さと共に議論を重ね、熟慮され、
体ごと解決を図られたこの国の諸問題は、
今やその場しのぎで浅はかな言説の洪水
に押し流され顧みられることがない。江
藤と加藤という戦後の批評の巨星に導か
れながら営為する“歴史”の復権の試み。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。