2024-06-01

【誠品選書】2024年6月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2024年6月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『ペルーからきた私の娘』
    著:藤本和子 出版社:晶文社
    1984年に刊行されたエッセイ集の新装版。
    翻訳家として、村上春樹をはじめのちの翻
    訳に大きな影響を与えた著者は、聞き書き
    の名手としても知られている。生きるのが
    困難な人々の「声」に、ただ耳をすませる。
    その姿勢に学ぶところは多い。

  • 『「教授」と呼ばれた男』
    著:佐々木敦 出版社:筑摩書房
    2023年3月に亡くなった坂本龍一の膨大な
    仕事と多面性を、時代背景や世界情勢も踏
    まえて論じる。音楽だけなく哲学や文学、
    アートにも精通し、アクティヴィストとし
    て社会の問題にも強い倫理観と信念を持っ
    た彼の足跡をこの一冊で辿ることができる。

  • 『ロシア宇宙主義』
    著:ボリス・グロイス 出版社:河出書房新社
    約100年前のロシアで、人間の不死と復活、
    宇宙への進出を目論んだ思想家たちがいた。
    共産主義の世界にいるはずなのに、欧米が
    研究を進める宇宙開発や生命科学と類似す
    る題材を扱うこととなったのはなぜか。彼
    らが夢見た未来を覗いてみよう。

  • 『まじめにエイリアンの姿を想像してみた』
    著:アリク・カーシェンバウム 出版社:柏書房
    動物学者が普遍的科学を以て導き出す地球
    外生命体とはどんな「生き物」か。形・動
    き・コミュニケーション・知能・社会性・
    情報など、あらゆる側面から考察する。命
    と我々人間が地球で生きられるということ
    がどれだけ稀有なことか気付かされる。

  • 『アメリカ70年代』
    著:ブルース・J.シュルマン 出版社:国書刊行会
    60年代半ばから公民権運動やベトナム戦争
    への介入、ケネディ暗殺等様々な大事件に
    揺れ栄光の日々から滑り落ちたとも評され
    る70年代はしかしアメリカにとって実は現
    在の状況の萌芽を生んだ10年間でもあった。
    著名なボストン大学教授がサブカルチャー
    の視点から論じた豊かな分析と思索の書。

  • 『デレク・ジャーマンの庭』
    著:デレク・ジャーマン ハワード・スーリー 出版社:創元社
    『ラスト・オブ・イングランド』や『ガー
    デン』などの映画作家として80年代を通じ
    て活躍したデレク・ジャーマンは、HIVに
    感染した晩年、英郊外の原子力発電所の傍
    の小屋で庭づくりに没頭した。死期を予感
    した作家が丹精込めた鮮やかな生命の記録。

  • 『実存主義者のカフェにて』
    著:サラ・ベイクウェル 出版社:紀伊國屋書店
    サルトル、ハイデガーといった二十世紀を
    代表する哲学者の伝記と思想を組み合わせ
    る形で書いたユニークな本。彼ら自身の人
    生と、思想のつながりや背後の歴史を知ら
    ないと、思想の本当の姿は見えてこない。
    ヨーロッパ現代哲学を知るのに最適な一冊。

  • 『ジェーンの物語』
    著:ローラ・カプラン 出版社:書肆侃々房
    半世紀以上前の米シカゴで、当時違法とさ
    れた人工中絶を行い一万一千人以上を救っ
    た、女性による地下組織『ジェーン』。現
    在につながる女性たちの権利をめぐる社会
    的な議論を呼び起こすきっかけともなった
    活動の、実態と意義を表した話題の一冊。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。