2019-10-16

誠品が中華圏以外に初進出! 日本一号店2019年オープンと発表

三井不動産と老舗書店「有隣堂」と提携 東京日本橋に新たな1ページ

台湾の誠品グループは、2012年の台湾以外の地域――香港の銅鑼湾(コーズウェイベイ)への初進出、2015年の蘇州金鶏湖湖畔での中国大陸一号店のオープンに引き続き、新たな試みとして初めて中華圏以外の地域に進出すると発表した。今回、誠品は、日本の「三井不動産」と老舗書店「有隣堂」とタッグを組み、東京日本橋に初の拠点を設置、2019年末にオープンする予定だ。これは台湾発の大型小売と書店ブランドの日本初進出となる。誠品の呉旻潔会長は、日本へ進出するという歴史的な第一歩を踏み出すことは光栄であり、このチャンスを大切にし、三社のリソースを結合し、文化的な意義に富み、ぬくもりのある文化の場を共創し、東京の人々によりよい生活体験を提供したいと述べている。

「誠品生活日本橋」と名付けられた誠品の日本一号店は、「価値ある時間の創造」というコンセプトのもと、誠品書店および日台のクリエイティブ・ブランドの手作り体験工房を集約、さらに台湾で人気のグルメや茶文化ブランドをたずさえ、日本で新たな幕開けを迎えることとなる。今後、誠品書店は自ら選んだ書籍「誠品コレクション」や「職人のおすすめ」などのコーナーを日本でも設置、そして日本の出版業界ではめずらしい「年間ベストセラーランキング」といった企画で、日本の作家や各領域のライフスタイルの職人と共に定期的にテーマ別のブックフェアを開催する予定だ。これは、誠品ならではのコンテンツ展示力に、まさにイノベーションを進めている日本の老舗書店有隣堂のしっかりした基盤と豊かな経験を合わせ、多様な読書風景を創り出していくのがねらいだ。

東京都心の日本橋を誠品の歴史的な起点として選んだのは、その独自の文化性に着目したためだ。日本橋は、徳川家康が江戸幕府の時代に、日本各地への起点として建設された橋であり、400年あまりにわたり日本の商業や経済活動の中枢であるなど豊かな歴史を有している。また日本国道路元標(日本各地の公道は東京から何キロと標示されているが、その起点)でもある。誠品と提携している三井不動産が属する三井グループもまた、日本橋で創業した企業だ。三井不動産は「日本橋再生計画」で、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」をコンセプトにこの地域を再開発をすることで、歴史的建築物、老舗の店舗との共存共栄をはかり、日本橋に新たな時代の中での華やかな魅力と新たな価値を創り出している。なお、誠品が進出する最新開発アイテムであるビル「日本橋室町三井タワー」は、2019年に落成、オープンする予定だ。

誠品生活日本橋の内部は、アメリカ建築家協会名誉会員で台湾の著名な建築家である姚仁喜氏がデザインを手がける。「古今の交わり」というアイディアから、新しい建築工法を用いインテリア・デザインのコンセプトを広げていく。これによって、日本橋の最も本質的な江戸の精神を受け継ぎ、文化の場としての新しい流れを切り開いていくという。ここでは、誠品書店の豊かなコンテンツと展示を見せるだけでなく、生活用品の面では、精選した世界の文具ブランドと商品類を並べ、深みを持った経営で、日本の従来の書店の文具エリアとは異なった特色ある専門店を創造する。また台湾で高い評価を得ている商品やクリエイティブ商品を集約、台湾文化を愛する日本の人々に台湾らしさあふれる生活美学を紹介していくことを目指す。

誠品が歴史的な一歩を踏み出すにあたって、誠品生活松菸店の経営の成功体験は、日本のパートナーにとって印象的なものだった。松菸店はCNNに世界で最もクールなデパートの一つと称された店舗であり、工芸の体験コーナーや新規デザイナーの展示販売のプラットフォームなどを設置、日本、欧米、東南アジアなど各地のクリエイティブ・コマースや小売物流業者の高い注目を得ている。誠品生活日本橋でも、やはり選び抜いた工芸ブランドを並べ、ぬくもりのある手作りを実際に体験することで職人の精神を伝えていく。同時に台湾と日本のクリエイティブ・コマースの交流プラットフォームを打ち立て、日台の新しいデザインブランドが市場に入るための育成の場としていくという。

また、「食」は文化の内面を直接体験できる重要なテーマだ。誠品生活日本橋は、よりすぐりの台湾の茶文化とグルメブランド、調味料、軽食やスイーツなどで、台湾らしさあふれる「味わい」を日本人に紹介していく。また台湾料理の実演をするクッキング・スタジオを設置、今後日本でも定期的に現場で調理実演のイベントを行う。これによって「食材生活バザール」と日台の食文化を融合させ、それぞれの季節の旬の味を表現し、読者とともに五感で食文化を味わってもらう。

誠品が中華圏の社会を出て、新しい市場へ発展していくことについて、誠品の呉旻潔会長は、「台湾はしっかりとした文化の美学を有しています。香港と中国大陸に進出した後、私たちは中華系の文化コンテンツとクリエイティブ作品が発展可能な潜在力を持っていることに気付きました。豊かですばらしいこれらコンテンツにより多くの多様な市場を創り出していければと思っています。」と述べる。また、呉会長は、日本は世界でも小売産業が最も発展した国の一つであり、出版市場とクリエイティブ・コマースも非常に成熟しているため、誠品が学ぶべき点は多い、今後、前進の努力を続け、台湾発のクリエイティブ・ブランドがより大きな世界へと羽ばたいていけることを願うと述べている。