2025-10-01

【誠品選書】2025年10月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2025年10月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『イン・ザ・メガチャーチ』
    著者:朝井リョウ 出版社:日経BP
    熱心なファンを中心に置くことでさらにその
    ビジネスを拡大していく「ファンダムエコノ
    ミー」を3つの視点から描く。確かなものな
    ど何も無いこの時代に、何かに熱狂したい人
    々の切実さが伝わってくる。「時代」を描く
    ことに長けた作家、朝井リョウの真骨頂。

  • 『南海王国記』
    著者:飯嶋和一 出版社:小学館
    歴史小説の名手による7年ぶりの長編小説。
    『国性爺合戦』の主人公のモデルとなった
    鄭成功。17世紀半ば、明朝が滅び、満州
    人による清が覇権を握った頃、台湾に渡っ
    た鄭成功は鄭政権を樹立し、台湾の発展に
    寄与した。彼を中心にした鄭氏四代の物語。

  • 『修道院覚書』
    著者:ジョゼ・サラマーゴ 出版社:河出書房新社
    1998年、ポルトガル初のノーベル文学賞
    を受賞した著者の、最高傑作と言われている
    作品の新訳。舞台は18世紀ポルトガル。
    王が建立した巨大な宮殿と修道院にまつわる
    史実を背景にした壮大な歴史物語、かつ、破
    格の想像力で紡がれるラブストーリー。

  • 『世界自炊紀行』
    著者:山口祐加 出版社:晶文社
    「自炊をもっと自由に!」を標榜に活動する
    著者が、旅をしながら現地の人々と台所に立
    ち、食卓を囲むことで世界の自炊事情を考察
    したエッセイ集。本書に綴られた自炊に対す
    る考え方を客観的に見ることで、新たな異文
    化に気づく。各国家庭料理のレシピも必見。

  • 『アルツハイマー病の一族』
    著者:ジェニー・エリン・スミス 出版社:原書房
    若年性アルツハイマー病を引き起こす遺伝子
    変異を代々継承する一族と診察した若き医師
    たちの、病や治療薬開発との長き闘いを記録
    した一冊。近くに寄り添い取材した著者が記
    す、不安や葛藤、強さが交錯する彼らの姿に
    は、宿命への恐怖と生への希望を抱かせる。

  • 『8週間語学の旅 水先案内人はずれっちと様々な言語の海へ』
    著者:山本冴里 出版社:KADOKAWA
    本書は、著者が教鞭を取る大学での授業記録。
    一つの言語を学ぶのではなく、学生が興味を
    持つ言語をバラバラに学ぶことで、言語学習
    の土台づくりにも繋がる点が興味深い。掲載
    されている事例や課題はどの言語にも活用で
    き、挫折しそうな時にぜひ実践したい。

  • 『出口 中絶のための1200kmの旅』
    著者:B.キャロット 出版社:花伝社
    中絶が禁じられるポーランドで望まぬ妊娠を
    し、手術を受けるためオランダを目指す主人
    公と唯一の理解者である姉。長い道中交わさ
    れる彼女たちの声とこれまでの経緯が描かれ
    るフィクション。グラフィックノベルならで
    はの表現で、読み手の思考を深める作品。

  • 『ふらんすの椅子』
    著者:鈴木るみこ 出版社:湊の人
    人生がたとえ困難に満ちていても、“読む”こ
    とにより人は勇気を与えられると理解できる
    文章がここにもある。雑誌『クウネル』創刊か
    ら同誌を牽引し、数多の雑誌に美しい言葉を残
    したライター・編集者の遺稿集。未発表原稿5
    篇収録。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。