2025-04-01

【誠品選書】2025年4月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2025年4月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『やなせたかしの生涯』
    著者:梯久美子 出版社:文藝春秋
    誰もが知る「アンパンマン」の作者、やな
    せたかし。彼のもとでかつて編集者として
    働いていた著者による評伝。幼い頃に別れ
    た母親への思慕、戦場での飢えの体験、弟
    の戦死―。自分の顔を食べさせて人を救う
    アンパンマンに投影された人生哲学とは。

  • 『FREE』
    著者:レア・イピ 出版社:勁草書房
    アルバニアの政治学者によって書かれた自
    伝。社会主義から資本主義へ、そして内戦
    状態になった祖国の変容を目の当たりにし
    た著者の「たとえあらゆる制約を課せられ
    ても私たちが内面の自由を失うことはない」
    という力強い言葉が胸に響く。

  • 『世界99』
    著者:村田沙耶香 出版社:集英社
    性格を持たず周りの感情に「呼応」する主
    人公。大人になった彼女は三種類の「世界」
    で生き、さらに新たな世界に引きずり込ま
    れる。アイデンティティの揺らぎ、差別の
    構造、女性に対する日本社会の枠組みなど、
    多様な問題を提起する一冊。

  • 『絵本とは何か』
    著者:松本猛 出版社:岩波書店
    日本を代表する絵本作家、いわさきちひろ
    の息子である著者がまとめた絵本論。素朴
    な疑問から歴史、表現技法について幅広く
    語られる本書を読むと、身近な存在であり
    つつも総合芸術である絵本の偉大さと、守
    るべき大切な文化だということに気づく。

  • 『らせんの日々』
    著者:安達茉莉子 出版社:ぼくみん出版会
    京都の社会福祉法人に聞き書きしたものを
    まとめた一冊。「福祉に従事することは(略)
    らせんのようなものである」という職員の
    言葉がタイトルには込められている。本書
    に書かれた「ケア」の実践は、世の中を生
    きやすいものにするだろう。

  • 『THE VISUAL 冠木佐和子作品集 tenesmus』
    出版社:トゥーヴァージンズ
    THE VISUAL 冠木佐和子作品集 tenesmus//トゥーヴァージンズ
    アニメーション作家でもあり、世界各国の
    映画祭でノミネート、受賞歴多数の冠木佐
    和子、初のイラスト作品集。繊細な表現と
    大胆な構図、過激なモチーフでありながら
    ポップで上品で不穏でユーモラスな彼女の
    作品は、まさに「唯一無二」。日英両表記。

  • 『動物には何が見え、聞こえ、感じられるのか』
    著者:エド・ヨン 出版社:柏書房
    動物の感覚をテーマに、五感だけではなく
    電気感覚や磁気感覚などの人間には馴染み
    の薄い感覚にも焦点を当て、動物がどのよ
    うに世界を認識しているのかを探究する一
    冊。動物の感覚とは一体どんなものか、人
    間より優れているのかを考えさせられる。

  • 『道徳は進歩する』
    著者:ピーター・シンガー 出版社:晶文社
    “我々はなぜ正しい行いをしなければなら
    ない”と考えるようになったのか。
    人間が歴史の過程で獲得してきた利他性が、
    どのように道徳や倫理を形成してきたかに
    ついて、自然科学的知見、具体的にはダー
    ウィン進化論を踏まえて説明する。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。