2023-11-01

【誠品選書】2023年11月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2023年11月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『エクス・リブリス』
    著:ミチコ・カクタニ 出版社:集英社

    長年ニューヨーク・タイムズで書評を担当してきた文芸評論家による、本の紹介本。
    アメリカ社会でマイノリティだった著者は自分が何者でどこに属しているのかを解き明かそうとするような本に惹かれると語る。
    分断の時代にこそ読むべき本に満ちている。

  • 『歌わないキビタキ』
    著:酒井隆史 出版社:亜紀書房

    この十年の時代状況を捉えた著者のエッセイ集。魯迅の“賢人と馬鹿と奴隷”になぞらえた標題作から始まる現代社会批判は、限りなき成長を求めるがゆえに我々に不自由を強いる資本主義のフレームの外を想像する思考へと読者を誘わずにはおかない。

  • 『歌われなかった海賊へ』
    著:逢坂冬馬 出版社:早川書房

    舞台は1944年、ナチス下のドイツ。
    体制に順応することなく、ただただ自分らしく生きたいと願った少年少女たちの目から見た戦争とは。ホロコーストとは。
    『同志少女よ、敵を撃て』の著者による待望の第二作。

  • 『左川ちか詩集』
    著:左川ちか 編:川崎賢子 出版社:岩波書店

    昭和初期、ジョイスやウルフの翻訳を10代で残し、その後詩壇に登場するや伊藤整、萩原朔太郎らに激賞され将来を嘱望されるが36年24歳で死去した詩人・左川ちか。
    俗情に阿らず遠くから人々に呼びかける“私”の強烈な意思が、読み手を覚醒させる。

  • 『坂本図書』
    著:坂本龍一  監修:空里香 出版社:バリューブックス・パブリッシング

    音楽家・坂本龍一が2018年から4年にわたり婦人画報に連載していた文章と、今年3月に行われた編集者・鈴木正文氏との対談を収録。
    その膨大な読書歴と蔵書から浮かび上がる“読書者”としての彼の姿。
    思わず覗き見て唸る“他人の本棚”。

  • 『謝罪論』
    著:古田徹也 出版社:柏書房

    謝罪の内実や諸特徴について具体的に説き明かす自分自身を認識し者と共に生きるためのコミュニケーションとして、謝罪を考える。
    適切な謝罪が出来ない、適切な謝罪の求め方が出来ないという問題ついて、本書を起点とした探究を始めよう。

  • 『寿司屋のかみさん 新しい味、変わらない味』
    著:佐川芳枝 出版社:青春出版社

    1975年、東京・東中野の名店「名登利寿司」主人と結婚、“寿司屋のかみさん”として過ごした半世紀。
    にぎりやつまみ、人間模様、先代から二代目への代替わりなど、児童文学作家としても活躍する筆者の腕の冴えに思わずホロリとしつつお腹が鳴る一冊。

  • 『万物の黎明』
    著:デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ 出版社:光文社

    私達が所与のものとして受け入れている国家という社会組織の在り方や、それを導いてきた進化論的歴史観を、考古学と人類学の画期的な知見を通じて徹底的に相対化し世界に衝撃を与えた書。
    “今こそ人類史の流れを変えるとき”(訳者あとがき)。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。