
当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2022年12月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『この父ありて』
著:梯久美子 出版社:文藝春秋
石牟礼道子、茨木のり子、島尾ミホ、田辺聖子など、戦中世代の9人の女性作家と父との関係がテーマ。女は家にいるものとされ、男尊女卑の風潮が強かった時代、父を見つめるまなざしが「書く女」たちにどのような影響を与えたかがうかがえる一冊。
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『スローフード宣言』
著:アリス・ウォータース 出版社:海士の風
世界的に有名なレストランを経営する著者が提唱する「オーガニック」とは、自分と周囲との繋がりを大切にする生き方、暮し方を指す。目の前の食事が自分自身を作り、自分の選択が社会を作り、どのような世界にしていっているかを真摯に伝えている。
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『村八分』
著:礫川全次 出版社:河出書房新社
2021年5月、大分地裁中津支部は、村八分の嫌がらせなどを「脅迫罪を構成し得る」と断罪した。前時代の遺制ではなく今日も有る「村八分」。のけ者を断罪する民俗史を丁寧に見れば、現代の人びとが分断される問題の要因が分かるかもしれない。
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『コード・ブレイカー』
著:ウォルター・アイザックソン 出版社:文藝春秋
ゲノム編集技術クリスパー・キャス9を開発しノーベル賞を受賞した女性科学者ジェニファー・ダウドナ。彼女の業績は、IT革命を超えた生命科学革命の衝撃を世界にもたらすことになった。人類史の大きな転換が始まろうとしている。
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『植物考』
著:藤原辰史 出版社:生きのびるブックス
人間は植物なしには生きることさえできないが、植物は人間なしでも生きていける。食と農の歴史を専門とする著者が、古今東西の様々な学説を引用しながら、「人間は植物よりも本当に高等な生き物なのか」という問いへの答えを模索する。
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『太陽諸島』
著:多和田葉子 出版社:講談社
『地球にちりばめられて』『星に仄めかされて』に続くシリーズ最終巻。ヨーロッパ留学中に自分の母国が消滅してしまった主人公のHirukoが、仲間とともに故郷を目指す旅。誰もが移民になり得る時代に、彼女が見つけた答えとは。
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『「専門家」とは誰か』
著:村上陽一郎 藤垣裕子 出版社:晶文社
一般市民に専門知を分かりやすく伝えるべきだが、媒体が偏った見方をすれば誤解され得る。そうならぬよう、専門家は広く勉強し、偏りなく啓蒙していく必要がある。「専門家」の専門家たちによる、「専門家のあるべき姿」を知りたい人のための本。
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『東ドイツある家族の物語』
著:マクシム・レオ 出版社:アルファベータブックス
ワイマール共和国時代から第三帝国を経て、東西ドイツ分裂からベルリンの壁崩壊、そして現在まで、四代にわたり東ドイツで生きる著者自身の一族の歴史が、日常の細部にわたり描かれる。世界各国で翻訳され、ドイツでベストセラーとなった傑作。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。