2021-11-10

【2021台湾文学展】第三弾:味の台湾(前編)

今シーズン注目の作家  焦桐(ジアオ・トン)
「食とは、私たちの精神と暮らしを生き生きとしてくれる、いわば無限につづく召喚である」──『暴食江湖』
イラスト/張宗舜・陳妮均
提供/みすず書房

  • 焦桐 ジアオ・トン
    文筆家・詩人。1956年、高雄生まれ。舞台の脚本・演出を手掛けるなどして、演劇人としてキャリアをスタートさせた後、文筆業の傍ら、メディアに関わる仕事に長年にわたって従事している。示される詩のイメージは鮮明かつ先鋭的で、また散文は軽妙な筆致でありながら、思慮深くも内省的である。1999年に上梓した現代詩集『完全強壯レシピ』以降、食文化を伝える担い手となる。2001年に、二魚文化出版社を創設し、雑誌『飲食』を自ら刊行。代表作に『焦桐詩集(仮題)』、『台湾飲食文選(仮題)』、『フォルモサの味(仮題)』がある。

    「日本の文化は台湾社会に大きな影響を与え、そして日本文学と台湾には深いつながりがあります。これまでに、『黎明の縁』、『青春標本』、『完全強壯レシピ』の詩集3冊と、『味わい台北旧市街』と『味の台湾』のエッセイ集2冊、計5冊の拙作の邦訳書が出版されました。物語がこのようにして日本語という言葉で立ち上がることを、大変うれしく思います。」──焦桐

  • 今シーズンいち押しの一冊

    『フォルモサの味』

    台湾の食にまつわる本の多くは、焦桐が頭角を現す以前こそ、風情たっぷりな郷愁をかき立てる作品が多かった。エッセイスト・張曉風は焦桐について「料理に詩の桂冠をかぶせ、その純度を宗教の域にまで高めた」と評している。20数年もの間、食と文学のおいしい関係を紡ぎ、グルメが彩るものがたりの新境地を切り拓いてきた焦桐。代表作に、台湾の屋台料理やレトロな軽食店の味を生き生きと書き上げた『暴食江湖』、台湾各地に点在する味な店に自ら赴き、舌鼓をうち、情報収集して、まとめ上げた3部曲の『台湾の味』、『台湾の腹』、『台湾の舌』などがある。またこれら前作を大幅に加筆し再構成した本作は、台湾小吃(シャオチー)のバイブルとされている。食を用いて人々の記憶や文化背景を、圧倒的な観察力と繊細な筆致で噛み砕く焦桐の作品は、ピリリと読み手の五感をフルに刺激し、読むほどに、懐かしい台湾ごはんを恋しくさせる。台湾の街角の匂いと味がしみじみと滲み出す文章を、ぜひご堪能あれ!

    「忘れられない思い出の老舗のレストラン。往時の賑わいをしみじみと懐古するなじみの顔ぶれたち。台湾の“日式料理”は、華やかではないものの、出されるものはどれも、そのものの味わいが引き出されている。おいしい食べ物とは、どれも誠実な本質をとらえているのだ。私はそのことを、ますます信じるようになった」──『フォルモサの味』




  • 邦訳版絶賛発売中『味の台湾』
    『フォルモサの味』から選りすぐりの60篇を収録!

  • 『台湾の味』(臺灣味道)

    お肉の餡を包んだ肉圓(バーワン)、だしの効いた米(ビー)粉(フン )湯(タン)、カキ入りオムレツの蚵仔煎(オアチェン)、甘辛く味付けした滷(ルー)肉(ロー)飯(ハン)など、滋味深き庶民的な台湾料理に秘められた数々の物語──。5年のご当地探訪を経て、小吃を体系的にまとめた渾身の一作。読めば読むほどに、台湾の匂いと味が立ち込めてくる美食エッセイ。

  • 『青果物歳時記』(蔬果歲時記)

    肉なしでは満足しなかった焦桐が、人生の折り返し地点で菜食の魅力に目覚め、その味わいや文化をつぶさに考察した一冊。「果物と野菜こそ季節のリズムを表している」──、60種類もの食材を季節ごとに取り上げ、天地自然の移ろいや条理を豊かに書き下ろした珠玉の歳時記。

  • 『小さな恋人のためにつくる朝食』(為小情人做早餐)

    食べ物をこしらえるとは、ただ空腹を満たすためではなく、想いを伝える営みでもある。前世の恋人のような娘と父のほっこりするやり取りや、家族への愛がたっぷりと詰まった日々の食卓……。筆からフライ返しまでを自在に操る作者と、食べ盛りの娘たちの成長レシピ。



    2021年12月末まで、誠品生活日本橋の「台湾文化視点コーナー」にて絶賛展示販売中。ぜひお越しください。

  • 『味の台湾』刊行記念 誠品生活市集コラボ特別企画

    試し読み冊子付きの台湾食材福袋を期間限定発売中です。食欲の秋におうちで台湾気分を味わってみるのはいかがでしょうか?

    ●サクッと小腹を満たす【好呷ホージャーセット】 2,500円(税込)
    ●ガッツリ本場の味を堪能する【澎湃ポンパイ セット】 4,500円(税込)

    読めば読むほどに、台湾の匂いと味が立ち込めてくる美食エッセイと共に、おうちでも台湾料理をどうぞ心ゆくまで召し上がれ!
    ※数量限定でございますので、お早めにお買い求め下さい。

  • なお、『味の台湾』イラストパネル展も絶賛開催中です。張宗舜・陳妮均両氏による、賑やかな台湾料理の風景が並びます。ぜひゆっくりとご鑑賞ください。

『味の台湾』台湾食材福袋とイラストパネル展は2021年11月末までです。是非お越しください。