
当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2024年8月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『地球上の中華料理店をめぐる冒険』
著:関卓中 出版社:講談社
カナダ在住の中国系ジャーナリストが、アマゾンから北極圏まで中華料理の名店をめぐった探訪記。政治的混乱から母国を追われ、異郷の地でその土地の特性や文化、味覚に合わせながら中華料理店を営む同胞たちのアイデンティティとは。
『消費される階級』
著:酒井順子 出版社:集英社
人間は2人以上集まれば、学歴や外見、経済力など、上下差をつけたい生き物である。
その欲望を内に秘めつつ、差別や格差をなくし全ての人が横並びであるようにふるまうことはとても難しい。
水面下に潜んだ階級意識を稀代のエッセイスト酒井順子が暴く。
『SIZE』
著:バーツラフ・シュミル 出版社:NHK出版
ビル・ゲイツもその新刊を待ち望むという現代の“知の巨人”が、私たちが日ごろ所与のものとして見過ごす物事の“大きさ”について科学的に考察し、様々な思い込みや錯誤を明らかにする。
一読すれば、明日から世界が異なった相貌を見せるかも。
『医学問答』
著:仲野徹 若林理砂 出版社:左右社
西洋医学の専門家と東洋医学の専門家が、両者の違いや類似点についてざっくばらんに語り合う。
東西の医学を比較することによって、自分の体についてどちらか一方では見えにくい、別の角度からの医学リテラシーが身に付く一冊。
『世界目録をつくろうとした男』
著:アレックス・ライト 出版社:みすず書房
国際十進分類法の生みの親にして、図書館で採用された「情報カード」を駆使し、世界のあらゆる物や書誌を目録にしようとした男、ポール・オトレ。彼が信じた平和と知識の国際的な振興は、国際連盟として実現し、インターネットをも予見していた。
『憲法学と憲法学者の〈アフター・リベラル〉』
著:山元一他編 出版社:弘文堂
日々平穏に暮らせればどんな政治でも構わないといった諦念が社会に漂う昨今、“リベラル”の意味も急速に変質しつつある目下の状況下にあって、改めて今日の憲法学のあり方を問う一冊。
他分野の研究者やジャーナリストら多彩な参加者による座談会形式。
『そして、「悪魔」が語りだす』
著:グウェン・アズヘッド アイリーン・ホーン 出版社:海と月社
凶悪犯と話をし、心を通わせてセラピーを施す司法精神科医が集めた11のケース。
精神を病んだ犯罪者を排斥することよりも、治療をしていくほうが社会を健康にしていくのだという信念が窺える。
「悪魔」の心は変わっていくことができるのだろうか。
『ダーク・マターズ』
著:シモーヌ・ブラウン 出版社:明石書店
奴隷制度の時代から現代に至るまで、管理と統治の手段として、焼印、夜間取り締まり、空港セキュリティ、生体認証などその時代のテクノロジーを駆使して黒人は監視されてきた。
さながら“暗黒物質”のような、白人にとって理解不能な存在としてー。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。