2022-09-01

【誠品選書】2022年9月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2022年9月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『ポール・ヴァーゼンの植物標本』
    著:ポール・ヴァーゼン 出版社:リトルモア

    湯島の古道具屋の店主が、南フランスの蚤の市で偶然見つけた箱に収められていた100枚ほどの植物標本。花や草の細部まで再現したこのきめ細やかな手仕事を見ると100年前の一人の女性の息遣いがすぐ近くに感じられる。造本も美しい。

  • 『燃エガラからの思考』
    著:柿木伸之 出版社:インパクト出版会

    原爆の落とされた後に生きることは許されるのか。原爆と広島を巡る通俗的な物語-“核の普遍史”を拒否し、大文字の言葉で語られなかった被害を巡る様々な言説や表現を手掛かりに、ありうべき戦後世界と平和への回路を構想する論考集。

  • 『日本軍が銃をおいた日』
    著:ルイ・アレン 出版社:早川書房

    戦争ノンフィクションの名著を復刻するシリーズ〈人間と戦争〉の第一弾。第二次大戦当時、イギリス軍の語学将校として歴史の転換期を目の当たりにしたルイ・アレン氏が、数多くのインタビューや膨大な資料から書き上げた「日本軍の降伏」の実態。

  • 『フランキスシュタイン』
    著:ジャネット・ウィンターソン 出版社:河出書房新社

    「フランケンシュタイン」を執筆した19世紀のメアリー・シェリーの伝記的物語と、それに呼応する現代の物語が交互に進む。科学者は生命を創造できるのかという重みのあるテーマだが、ウィンターソンらしさ溢れる笑いの要素も。

  • 『アイドルについて葛藤しながら考えてみた』
    著:香月孝史 出版社:青弓社

    ファンの視線やプライベートの侵害など、理不尽さに悩むアイドル達。業界やファンの在り方まで考えさせられる。本書という試論を切っ掛けにもう一度考えてみたい。推すアイドルへの認識だけでなく、自分の生き方、考え方も変わるかもしれない。

  • 『応援消費』
    著:水越康介 出版社:岩波書店

    東日本大震災頃から、消費行動に「応援」という意味が込められ、新たな付加価値として消費者の利己的購買意欲と利他的社会貢献ニーズを満たすようになってきた。「応援」を喚起するマーケティングは、今後の市場でより重要なものとなるだろう。

  • 『ルポ誰が国語力を殺すのか』
    著:石井光太 出版社:文藝春秋

    『ごんぎつね』で母親の葬儀の準備中、家の前の大鍋で煮ているのは母親の遺体?!どう読んだらそういう解釈になるの?!言葉を使って物事を考え表現する能力が決定的に欠如した子供たちの現状と、教育現場における国語力再生の最前線を描く話題の書。

  • 『世界は五反田から始まった』
    著:星野博美 出版社:ゲンロン

    大宅壮一ノンフィクション賞作家による故郷=“大五反田”を巡る物語。彼女の祖父が十三歳で千葉の御宿からこの地に移り住んで以来の、家族と、隣人たちと、土地の歴史を丹念に拾い集めてゆくその背中が、この国の戦後、そして現在を教えてくれる。

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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。
これまでの2年間で選ばれた170点余りの日本版「誠品選書」を集めました。