2022-10-01

【誠品選書】2022年10月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2022年10月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『戦争日記』
    著:オリガ・グレベンニク 出版社:河出書房新社

    ロシア軍がウクライナに進行してから9日目に、母と夫を国内に残してブルガリアに脱出した過程を、絵本作家の著者がロシア語で書き記した絵日記。巻末の奈倉有里氏の解説から、人間を言語や民族で分けてはならないという著者の思いが伝わってくる。

  • 『カースト』
    著:イザベル・ウィルカーソン 出版社:岩波書店

    黒人を貧しく、教育がなく、出世できず、力のない状態にとどめておこうとする見えない力。米国に根強く存在する「カースト制度」をインドのカーストやナチスドイツのユダヤ人迫害と比較して論じ、差別のない世界を提唱する書。

  • 『ザ・ナイン』
    著:グウェン・ストラウス 出版社:河出書房新社

    第二次大戦中、ナチスドイツに占領されたフランスで、レジスタンス活動に参加した9人の女性たち。警察に逮捕され、強制収容所に移され、逃亡した彼女たちには生き延びようとする強い意志と固い友情があった。手に汗握るノンフィクション。

  • 『非暴力の力』
    著:ジュディス・バトラー 出版社:青土社

    暴力は「自己防衛」で正当化できるのか。「生の価値」の有無を区別するレイシズムと戦争に対して、根本的平等を倫理的に実践するために筆者が示す「非暴力」。これ以上深く丁寧に「非暴力」を説明できる本は他にないのではないだろうか。

  • 『日本のカーニバル戦争』
    著:ベンジャミン・ウチヤマ 出版社:みすず書房

    南京事件から敗戦直前までの戦時中、国民は総動員して軍を支えた。煽るメディアの記者、国家の締め付けをすり抜けて遊ぶ大衆、そして、死にゆく兵士たち。戦争に熱狂する文化の裏表に居た人間たちのカーニバルを、膨大な資料とともに検証する。

  • 『奴隷会計』
    著:ケイトリン・ローゼンタール 出版社:みすず書房

    現代であれば、自分の奴隷である人間を減価償却する、などナンセンスだ。しかしアメリカ南部のプランテーションでは、至って真面目に奴隷を数字として管理する会計があった。奴隷支配と会計の黒歴史は、現代ビジネスで反省されているだろうか。

  • 『人間の自由と物語の哲学』
    著:山口尚 出版社:トランスビュー

    近代は“個人”や“主体”という概念を我々にあたかもそれが所与であるかのようにもたらしたが、明治期以降の日本文学を読めばそれらを獲得することが実はこの国では困難極まりない道だったとわかる。哲学と小説を巡り語られる〈人間の自由〉とは。

  • 『セックスロボットと人造肉』
    著:ジェニー・クリーマン

    『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』、『妖星伝』、『ニューロマンサー』―古今の優れたSF作品が予言する未来は現実化する。だがそれを歓迎すべきか?〈性愛・肉食・生殖・自死〉における科学の最前線を追いその可能性と課題を剔抉した意欲作。

店頭受け取り、オンライン売り切れ商品等のお問い合わせはお電話にて承ります。
03-6225-2871

台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。