
当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2024年12月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。
『姉と弟』
著者:藤原聡 出版社:岩波書店
1966年、静岡県清水市で発生した強盗殺人
・放火事件。容疑者として逮捕され、無罪
にもかかわらず58年間苦しみ続けた袴田巌
さんと、姉ひで子さんの絆を描く。警察の
捏造を炙り出し、冤罪、死刑制度について
も深く考えさせる。
『外国語を届ける書店』
著者:白水社編集部 出版社:白水社
ひとつの外国語に特化した専門書店の取材
レポートをまとめた一冊。インタビュー形
式で綴られる店主たちの思いには、単に
「原書を読みたい」というニーズを満たす
だけではなく、日本でも活きた外国語に触
れる喜びを届けていることが伝わってくる。
『コード・ブッダ』
著者:円城塔 出版社:文藝春秋
人が救いを求める結果2500年前に仏教が始
まったように、AIにも救いが求められる時
がやってくるのか。2021年、一つのコードが
ブッダを名乗り、自ら生命体としてこの世
の苦しみから解脱する方法を語り始めたー。
SFの名手による“機械仏教”の成立の物語。
『刑務所ごはん』
著者:汪楠 ほんにかえるプロジェクト 出版社:/K&Bパブリッシャ-ズ
受刑者に本を送ったり文通を通じて更生
を支援するボランティア団体が、刑務所
内の食事に関する取材を書面で行い、そ
の結果をレシピ集としてできるだけ証言
どおりにまとめた。食事がどれほど人生
に彩りを与えるかも教えてくれる一冊。
『高雄港の娘』
著者:陳柔縉 出版社:春秋社
日本統治時代の台湾、戦後の日本と2つの
地で様々な苦難を乗り越え、強く生きた女
性の生涯を描く。時代背景の分かりやすさ
は、記者やノンフィクションライター経験
のある著者と訳者だからこそ為せるもので、
日台の歴史を知るきっかけにもなる一冊。
『50歳からはこんなふうに』
著者:松浦弥太郎 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
50歳からの人生をおもしろく、楽しく生き
るための47のヒントが綴られる。少し休み
ながらも、新しい挑戦をしてみようかなと
背中を押してくれる、そんな一冊。“今日は
ゆっくり過ごす”と決めた休日や、旅のお供
に、ぜひじっくりと読んでいただきたい。
『メランコリーで生きてみる』
著者:アラン・ド・ボトン 出版社:フィルムアート社
ロンドン在住の哲学者が多様な35のテーマで、
哀愁、もの悲しさ、憂鬱な感情、すなわち
〈メランコリー〉について語る。
ネガティブなイメージがある
ものだが、よりよく生きるために実はとて
も大切な感情だ、というのが本書の主旨。
『少数派の横暴』
著者:S・レビツキー、D・ジブラッド 出版社:新潮社
民主主義という不完全な仕組みを正しく機
能させるためには、主権者たる市民の常な
る改革が行わなければならないとする、米
ハーバード大学政治学教授二人の共著。
実は少数派に過ぎない人々の“極論”が勝っ
てしまう理由が明快に論じられる。
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台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。
2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。