2023-11-01

『万物の黎明』刊行記念 酒井隆史氏×森元斎氏ライブトーク

『万物の黎明』は、惜しまれながら一昨年亡くなったアメリカの人類学者デヴィッド・グレーバー。彼が考古学者のデヴィッド・ウェングロウと共に著した最後の書『The Dawn of Everything: A New History of Humanity』の邦訳です。

この本は、従来通俗的に信じられていた人類の歴史を、根本から覆すものであるとして、世界中の人々から圧倒的な関心をもって受け入れられました。帯文にあるのは下記のような言葉です。

―私たちの祖先は、自由で平等な無邪気な存在(byルソー)か、凶暴で戦争好きな存在(byホッブズ)として扱われてきた。そして文明とは、本来の自由を犠牲にする(byルソー)か、あるいは人間の卑しい本能を手なずける(byホッブズ)ことによってのみ達成されると教えられてきた。実はこのような言説は、18世紀、アメリカ大陸の先住民の観察者や知識人たちによる、ヨーロッパ社会への強力な批判に対するバックラッシュとして初めて登場したものなのである。

このようなストーリーが、現代社会に生きる人間にとって実はとても深刻で大きな足枷になっていることをグレーバーたちはこの本で見事に解き明かしてくれています。そしてこう述べています。“人間の歴史はもっと自由で、遊び心と希望に満ちた可能性に溢れていた”と。
このイベントは、同書の翻訳を行った大阪公立大学の酒井隆史さんと、誠品生活日本橋のイベントではおなじみの長崎大学の森元斎さんによる対談形式で行われます。
今回はこの本に含まれる数々の視点を、酒井さんと森さんの議論により可視化していただくことで、読者の皆さんがより深い理解を得るための貴重な機会になるのではないでしょうか。大勢のご参加をお待ちしております。

■イベント情報
日時:2023年12月16日(土)19時00分~20時30分(終了時間は変更の可能性あり)
場所:誠品生活日本橋内 イベントスペース「FORUM」(COREDO室町テラス2F)
募集人員:40名(椅子席30名、立ち見10名)
参加費:無料
※社会情勢によりイベントを中止する場合がございますので、予めご了承下さい。

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  • 『万物の黎明』
    著:デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ
    訳:酒井隆史
    出版社:光文社
    価格: 5,000円(税別)
    ISBNコード:9784334100599
    発売日:2023/09/21

    私達が所与のものとして受け入れている国家という社会組織の在り方や、それを導いてきた進化論的歴史観を、考古学と人類学の画期的な知見を通じて徹底的に相対化し世界に衝撃を与えた書。
    “今こそ人類史の流れを変えるとき”(訳者あとがき)。

  • 酒井隆史(さかい・たかし)
    大阪公立大学教員、社会思想史、都市社会論。主要著作に『通天閣』(青土社、2011年)、『完全版自由論』(河出文庫、2019年)、『暴力の哲学』(河出文庫、2016年)、『ブルシット・ジョブの謎』(講談社現代新書、2021年)、『賢人と奴隷とバカ』(亜紀書房、2023年)など。
    訳書に、P・クラストル『国家をもたぬよう社会は努めてきた』(洛北出版、2020年)、M・デイヴィス『スラムの惑星』(明石書店・監訳、2010年)、D・グレーバー『ブルシット・ジョブ』(岩波書店・共訳、2020年)、『官僚制のユートピア』(以文社、2017年)、『負債論』(以文社・監訳、2016年)、D・ウェングロウ+D・グレーバー『万物の黎明』(光文社)、『アナーキー』(以文社、近刊)。

  • 森元斎(もり・もとなお)
    1983年東京生まれ。長崎在住。専攻は、哲学・思想史。学位は博士(人間科学)(大阪大学、2015年)。中央大学文学部哲学科卒業、大阪大学大学院人間科学研究科修了。日本学術振興会特別研究員、パリ第十大学研究員などを経て、現在、長崎大学教員。ホワイトヘッド哲学を中心とした現代思想や、アナキズムに関する思想の研究を行っている。
    著書に『具体性の哲学』(以文社、2015)、『アナキズム入門』(筑摩書房、2017)、『国道3号線』(共和国、2020 年)、『死なないための暴力論』(集英社インターナショナル、近刊)、『アナキズムという生き方』(青弓社、近刊)など。共訳書に、H・フラスベック+C・ラパヴィツァス『ギリシャ デフォルト宣言』(河出書房新社、2015) 、G・ハーマン『思弁的実在論入門』( 人文書院、2020)、D・グレーバー『反転する革命』(以文社、近刊)。