2023-06-01

【誠品選書】2023年6月おすすめ書籍

当店の書籍担当者3名が8冊ずつ推薦した準新刊の中から、毎月8点選んでいる誠品選書。
2023年6月も新たな選書が揃いましたので、ご紹介いたします。

  • 『風配図』
    著:皆川博子 出版社:河出書房新社

    12世紀、バルト海周辺。商人が活発に商いを行っていた時代。不幸な結婚の末、故郷を離れた15歳の少女と彼女を慕う義妹は、商いと語学を学び自らの道を切り拓いていく。社会的弱者の側から見た動乱の時代を、詩歌、戯曲を交えて描き出した歴史活劇。

    オンラインサイト

  • 『賢人と奴隷とバカ』
    著:酒井隆史 出版社:亜紀書房

    この十年の時代状況を捉えた著者のエッセイ集。魯迅の“賢人と馬鹿と奴隷”になぞらえた標題作から始まる現代社会批判は、限りなき成長を求めるがゆえに我々に不自由を強いる資本主義のフレームの外を想像する思考へと読者を誘わずにはおかない。

    オンラインサイト

  • 『種をあやす』
    著:岩﨑政利 出版社:亜紀書房

    長崎県雲仙で農業を営む著者は、40年間、農薬や化学肥料を使わずに野菜を育て、種を採り続けている。「種をあやす」とは、種を採る作業が赤ちゃんをあやすように見えることから。作物への愛と、自らの仕事への誇りが感じられる一冊。

    オンラインサイト

  • 『白鶴亮翅』
    著:多和田葉子 出版社:朝日新聞出版

    主人公はベルリンで一人暮らしをする日本人女性。様々な文化的背景を持つ人たちと出会い、彼らとのやりとりがユーモラスに描かれていく。軽妙洒脱な小説だが、根底にあるのは、あらゆる民族を平等にみることはできるかという問いかけである。

    オンラインサイト

  • 『ミルク・ブラッド・ヒート』
    著:D・W.モニーズ 出版社:河出書房新社

    1989年生まれの著者によるデビュー作。本書に収録された短編の主人公のほとんどはフロリダに住む有色人種の女性。マイノリティとして彼女たちが直面するアメリカの日常が描かれている。音やリズムを重視した独特の文体が、本国で絶賛された。

    オンラインサイト

  • 『ゴースト・ワーク』
    著:メアリー・L.グレイ シッダールタ・スリ 出版社:晶文社

    AIによる自動化は人間が不要になると考えがちだが、裏側では人の手が不可欠な労働が多く存在する。顧客からは見えないこのような労働をする下層階級から、どうすれば抜け出せるか。本書は、自動化された社会に暮らす未来の我々への助言となる。

    オンラインサイト

  • 『土偶を読むを読む』
    著:望月昭秀 小久保拓也 山田康弘 出版社:文学通信

    「深い方の沼へようこそ」この言葉が奥の深さをズバリ言い表している。『土偶を読む』の読者も未読のかたも、土偶に対する従来の理解を確かめ、あるいは否定されることになるだろう。本当の土偶研究・縄文研究とは、まさに本書のことではないか。

    オンラインサイト

  • 『政治的に無価値なキミたちへ』
    著:大田比路 出版社:イースト・プレス

    政治的に未成熟な人々が形作る社会は様々な問題を社会のより下位層に押し付ける。目下の日本社会において市民としての自覚を持たずに暮らすことは結果自己の大きな不利益につながる。ごく平易な語り口ながら、読者の政治参加を挑発し鼓舞する一冊。

    オンラインサイト

店頭受け取り、オンライン売り切れ商品等のお問い合わせはお電話にて承ります。
03-6225-2871

オンラインサイトはこちらから

台湾の誠品書店では、毎月「誠品選書」を選出しています。
1990年11月のスタート当時から、選書の基準を「すでに重版されたもの、版権のないもの、一時的に流行しただけのもの、通俗的な本は選ばない。学術的、専門的なもの、一般向けのものなどを問わず、難しいものである必要はないが、創作と出版に対する誠意があるものならジャンルを問わず推薦書籍とする」としました。

2019年、東京の日本橋にオープンした当店でも、「誠品選書」を通して読者に誠品の観点を伝えていきたいと考えています。日本の多種多様な出版物の中から、その月の代表的で、話題性、独創性があり、編集が優れている書籍をセレクトし、プレゼンテーションと投票によって、毎月8点の誠品選書を選出しています。